好きすぎた、たぶん。
俺が今持ってるギター。
詩織ちゃんが初めて俺んちに来て、すぐに気付いたこのギター。
デビューする前は基本このギターばっか使ってて、デビューしてからは曲を作る時、家で弾いてる時だけになった。
このギターは、俺にとって何よりも大切なもの。
ガキの頃、親父が買って来てくれたギター。
俺はずっとこのギターで夢追っかけて、生きてきた。
だから、このギターは俺の全て。
デビューしてから使わなくなったのは、自分の歌じゃないと思った時から。
このギターでは演奏出来なかった。
俺の中で、このギターを使いたくなかった。
今はこうやって自分の歌を歌わせてもらえるようになったから、またいつか使えたらいいなとは思ってる。
ガキの頃から毎日毎日このギターに触って、いつも持って歩いてたような気がする。
潤が一生懸命音を探してる中、俺はこのギターで曲を弾いた。
「・・・なつかしいな。」
潤がメモを取りながら、一言ボソッとそう言った。