好きすぎた、たぶん。


詩織ちゃんが好きなのは、俺じゃない。



NUTSのKAIなんだよ。



俺を知って好きになったと言ってくれても、詩織ちゃんが見てる俺はやっぱりKAIでしかない。



だから全部言って、本当の俺を話して嫌われようと思った。



それが1番いいと思った。



それに、俺なんか好きになっちゃいけない。



本当の俺はKAIじゃないってのもそう。



でも例え俺が詩織ちゃんの思うKAIであったとしても、俺はたぶん詩織ちゃんを受け入れてはいけないと思った。



俺はやっぱりどうあがいても芸能人で、詩織ちゃんは一般人の高校生で。



自分で望んで俺は今この世界で生きてる。



俺は音楽が好きだから、この世界を辞めようとも思ってない。



そんな俺と詩織ちゃんが一緒にいても、いいことなんてない。



きっと傷付くだけ。



お兄さんの言うことが本当に全てだと思う。



詩織ちゃんが好きだと言ってくれたからこそ、会うのはやめようと思った。



自分の出した答えに、自分が詩織ちゃんに言った言葉に後悔はない。



本当は重くなんかない。



飽きてなんかもいない。



でも、きっとこれが1番だと思う。


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