好きすぎた、たぶん。
だけど、俺が詩織ちゃんに対してこう考えたことすら、よく考えれば驚きで。
1人の女のことをここまでこんな風に考えたことなんて1度もなかったから。
相手がどう思おうが、どれだけ傷付こうが、俺にはどうでもよかった。
今までは。
でも、詩織ちゃんには傷付いてほしくなかった。
一緒にいても傷付く俺といるくらいなら、同じ学校の子だったり、もっと身近な大切にしてくれる人といた方がいい。
俺みたいに嘘で取り繕った人間なんか、好きになっちゃいけないんだよ。
ピーンポーン。
自分ちで全く進まない曲作りをしてると、夏実が来た。
あれ。
まだ迎えの時間じゃないのに。
時間聞き間違えたかな。
ガチャ。
「早くない?」
「ごめん、ちょっと話したくて早く来た。」
「あ、そう。」
「平気?」
「いいけど。」
夏実を家に上げていつものようにリビングに通した。