好きすぎた、たぶん。
別に詩織ちゃんへ抱くこの感情が1つの確信になったとしても、俺が今まで書いてきた歌詞に出てくる感情を俺が実際に抱いたわけじゃない。
全てを俺が体験したわけじゃない。
でも、なぜか今の質問で詩織ちゃんが浮かんだ。
今日テレビ局入ってからキツキツでリハやって取材受けて。
このあと待ち時間あるけど、今までは結構忙しく動いてた。
さっきの取材も服に関することだったし、気が紛れてたというか詩織ちゃんを思い出すこともなかった。
でも、一瞬にして戻ってしまった。
さっきまでの家にいた俺に。
別に詩織ちゃんがこの質問をしてきたわけじゃない。
俺の作る曲、俺の書く歌詞が好きだと言ってくれて嬉しい。
でも、顔も知らないこの子が言ってくれた「KAIさんの作る曲が大好きです」という言葉を聞いて思い浮かぶのは、詩織ちゃんだった。
詩織ちゃんが笑顔で言ってくれてた「可威さんの曲大好きです」だった。
それほどまでに俺の頭の中に詩織ちゃんが存在していた。