好きすぎた、たぶん。


だけどこの世界に入って悩むことは増えたと思う。



自分1人じゃどうにもならないこともある。



逆に自分1人で決めちゃ困ることもあった。



そういうことはやっぱり悩みを話すというよりは、みんなで相談みたいになった。



逆を言えば仕事で悩む時は俺1人の問題はなかったってことにもなるんだけど。



でも“tears”の頃は、俺だけの問題でもなかった部分もあるけど、俺の問題でもあった。



そういう問題を人に話すことはなかったけど、ましてやメンバーとか夏実以外に話すことなんてなかった。



でもあの日、俺はなぜか話していた。



詩織ちゃんに聞いてもらいたかった。



詩織ちゃんには話してた。



別に何か答えを求めてたわけでもないけど、でも詩織ちゃんから返ってきた言葉に救われたのは確かだった。



人に話すことのなかった俺の悩みを、詩織ちゃんにはぶつけていた。



それだけ俺は彼女に弱さを見せていたのかもしれない。



かっこ悪いけど。



でもそういうことが出来たのも、よくその時は考えてなかったけど、今思えば俺の中で大きかったんだと思う、詩織ちゃんの存在が。



好きだからなのかはわかんない。



好きだったらかっこ悪いから悩みなんて言わないとも考えられる。



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