好きすぎた、たぶん。


でも、俺がデモ段階の曲を聴いてほしかったり、詩織ちゃんの感想を求めてたのは、俺の求めるものを彼女は持っていたんだと思う。



俺は詩織ちゃんの言葉を勇気に変えていたんだと思う。



無意識にだけど。



それほどまでに俺は詩織ちゃんを頼りにしてたのかもしれない。



頼ってたのかもしれない。



俺らの番を終えてまた長い待ち時間を過ごして、エンディングを迎え無事に3時間の生放送が終わった。



年末だからなんだかんだで仕事があって、クリスマスに浸る余裕もなく過ぎて、あっという間に大晦日前日を迎えた。



今日はアーティストだったら誰もが1度は夢みたことがあるであろう、レコード大賞。



有難いことに俺らは去年新人賞をもらえた。



そして今年、また呼んでもらえた。



俺らがレコード大賞取れるとは思ってないけど、でもこうやって候補に入れただけでも有難い。



いろんな賞を受賞したそれぞれのアーティストが変わる変わる出てきて、みんな喜んだ笑顔を見せて時には涙を浮かばせていた。



去年俺らがこの場所で新人賞をもらった時、涙は流れなかったけど十分すぎるほど嬉しかった。



みんなで抱き合って喜んだし、俺らより誰より夏実が喜んでいたのを覚えてる。



それほどまでにあいつは俺らの1番のファンでいてくれてるから。



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