好きすぎた、たぶん。


「だから今までの関係でいる最後に、1つだけお願い聞いてもらってもいい?」


「・・・いいよ、何?」


「・・・・・・最後にキスして?」


「・・・・・・」


「家族じゃキス、しないでしょ?」


「・・・そうだね。」



いつもと変わらないちょっと強気な口調で喋る京子さんに、俺は最後のキスをした。



キスの途中、京子さんの目からまた1粒涙がこぼれたのがわかった。



「・・・じゃあ。」



唇を離して俺は京子さんの顔を見ずに京子さんちを後にした。



終わらせようと決めたのは自分。



今日こういう話をしようと決めてきたのも自分。



京子さんじゃない人を好きになって、もう京子さんとは出来ないと思ったのも自分。



全部自分で決めたことだけど、やっぱり今日のこの瞬間を迎えるのは嫌だった。



俺が詩織ちゃんに対する感情と同じものを京子さんには抱くことは出来ないけど、でも本当に京子さんって人が好きだったから。



本当に家族のようだと思ってる。



何度「ありがとう」って言っても感謝しきれないくらいに感謝してる。



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