好きすぎた、たぶん。


「なんで車?」


「いいから。」



何だろ。



こんなとこで。



夏実はいつも助手席に座ったり運転したりだけど、めずらしく一緒に後部座席に並んで座った。



「どしたの?」


「ずっと言おうと思ってたの。」


「何を?」


「今回の曲、カップリングから両A面になった曲、あの子のこと書いたんでしょ?」


「・・・・・・」


「気付くよ、初めてデモ聴いた時にすぐわかった。」


「・・・うん。」


「本気なんだね。」


「・・・うん。」


「そっか・・・可威にこんな時が来るとはね。」


「・・・ごめん、勝手なことして。」



夏実とは何も話さないで来た。



この曲について。



きっと気付いてるんだろうなとは思ってたけど、なんて夏実に言っていいかもわからなかったから。




< 841 / 880 >

この作品をシェア

pagetop