好きすぎた、たぶん。


…ちゃんと曲だけじゃなくて、自分の気持ち言った方がいいのかな。



潤も夏実もちゃんと言った方がいいみたいなこと言ってくれたけど…



でも自分から会わないって言っといて、いきなり好き?



言えんのかな、俺…



この曲作って歌っただけで、結構いっぱいいっぱいなんだけど…



でも、伝えたい…かもな…



エレベーターの中で無意識に右手にはめた指輪を見た。



…詩織ちゃんはもう捨てたかな。



もう半年以上経ってんだもんな。



忘れたかな。



あんな曲作って歌っといて、今更ちょっと弱気になってる俺に、自分で自分が情けなくなりつつエレベーターを降りた。



鍵…鍵…



鞄の中から鍵を探しながら、自分の家の方へ廊下を歩いてく。



ガサッ。



誰もいないはずの廊下から、物音が聞こえて誰かが立ち上がったのが視界に少しだけ入った。



…ん、お隣さんかな。



そう思って顔をあげると、お隣さんではなく俺んちの玄関の前に1人、俺の方を向いて人が立っていた。



「…え……」




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