好きすぎた、たぶん。


「あ……お、おかえり…なさい…」



緊張してシドロモドロになりながらそう言って俺を待っていたのは、詩織ちゃんだった。



「え…詩織ちゃん…?」


「…ごめんなさい、急に来て…」


「…いや……」


「下のオートロックの暗証番号、教えてくれたの覚えてて…」


「…そう…」


「さっきのテレビ…見て…つい…」



…見てくれたんだ・・・



見て…来てくれたんだ・・・



ガチャ。



鍵を開けてドアを開けた。



「入って?」


「あ、はい…」



半年ぶりに会った詩織ちゃんは、心なしか少し大人っぽくなったような気がした。



気のせいかな。



わかんないけど。



そっか、でももう高校3年生になってるんだもんな。



そんなことを思いながら、あの頃と変わらずリビングに通した。




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