好きすぎた、たぶん。
「…詩織ちゃんも…してくれてるんだ。」
「……ずっと…してます…」
「……」
「ごめんなさい、会わないって言われたのに…終わったってわかってたのに…でも…」
目に涙をいっぱい溜めてそう言った詩織ちゃんを、俺は思わず抱きしめた。
「詩織ちゃん…」
「ごめん…なさい…」
「ごめん、また俺の話…聞いてくれる?」
「………」
「ちゃんと本当のこと話すから、ちゃんと本当の俺話すから、聞いてほしい。」
「……はい…」
ずっと、怖かった。
世間のイメージと俺が違いすぎて。
ずっと夢みてた今が、思い描いてたものと違って。
歌とギターで俺は生きてきた。
だから歌とギターで生きて行きたかった。
だけど、やっぱりそんなに世の中甘くなくて、歌ってればそれでいいってほど、俺には力がなかった。
音楽とは関係ない仕事だってしなきゃ知名度も上がらないし、ファンだってつかない。
そうわかってても、どうしてもその歌以外の仕事が受け入れられなかった。