好きすぎた、たぶん。

悔しかったんだと思う、歌だけで勝負できない自分が。



だからそんな歌以外のもので俺らを好きになってくれたファンの人を、信用出来なかった。



曲なんて聴いてないくせにって。



でもそんな曲自体も、デビューして最初は俺がいくら曲作っても、会社使用にアレンジさせられて、売れることを１番に考えた音にして。



そういう歌詞書いて。



それが悔しかったし、そういう風にアレンジ出来るようになってる自分にも腹が立った。



だからそういう本当の俺の曲じゃない曲を聴いて、俺らの歌を好きだという人にも腹が立った。



何がファンだよ。



俺らの歌なんて聴いてないじゃんってずっと思ってた。



曲を聴いてくれないファンにも、曲を聴いて好きになってくれてたファンにも、全員苛立ってた。



そして会社にも世間にも認められる曲を作れない自分にも。



でも、初めて“MOON”でチャンスもらって１位取れて、認められたような気がして嬉しかった。



“tears”で順位落ちた時は死ぬほど悔しかったし、自分で自分がムカついて、自信もなくしたし、どん底だった。



だけど“For You”でまた１位取れて、しかもそれでレコード大賞まで取れて、自信になった。



俺の曲、聴いてもらえたって。



聴いてもらえる曲作れたって。



だからもう、歌以外の仕事も好きだって言ってくれるファンにも、苛立ちはしなくなった。