好きすぎた、たぶん。
「・・・・・・・・・」
「ごめんね、嘘ついて。」
涙をまた次々と零しながら、詩織ちゃんは首を横に振った。
「こないだ話した、高校の時からお金くれてた、今でも体の関係だけ続けてるって言った人、その人とはもう終わりにしてきた。」
「……」
「俺が1番感謝してる人だから、完全に会わないとかそういうことじゃないけど、でももう詩織ちゃん以外の人とキスしたりセックスしたり出来ないと思ったから。」
「……」
「俺を好きだと言ってくれた人を泣かせちゃったかもしれないけど、でも俺は誰よりも、詩織ちゃんを悲しませたくないって思った。十分傷つけちゃったけど、もう傷つけたくない。もう詩織ちゃんだけは泣かせたくない。」
「……」
「俺は芸能人だし、いくら詩織ちゃんを好きだと思っても、今の立場も仕事も変えられない。会えない時もあるだろうし、守ってあげられないこともあるかもしれないし、彼女いるって堂々と言えない。それは俺にはどうしようもない。だけど、詩織ちゃんを好きなのは本当だから。誰よりも詩織ちゃんが好きだから。一緒にいられない時があっても、この気持ちは変わらないし、気持ちはずっとそばにいる。」
「……可威さん…」
詩織ちゃんはそう言って泣きながら、俺に抱きついてきた。
俺もそんな詩織ちゃんをまた抱きしめた。
「俺はこんな生き方してきたから、1回も好きな人って出来たことないし、好きになったこと自体ないから、俺がいくら好きって言っても信じられないかもしれない。自分でもずっと信じられなかった。これが好きって気持ちなのかって。」
「…そんなこと……」