好きすぎた、たぶん。
夏実は、今度出す曲と同じ曲を作っちゃダメって言ってんじゃない。
そうじゃなくて、今度出す曲と同じように、俺の曲を作るなって念を押しに来た。
俺の曲がコケるかもしれないから、すぐにまた曲を出さなきゃいけない。
だから、俺が作った俺の曲はダメ。
デビューから今まで出してきた曲と同じ様に、会社の曲を作らなきゃいけない。
わかってるよ。
「・・・ちゃんとわかってるから。」
「そう。」
「今外行って来て、だいぶ浮かんでるからさ、ごめん。1人にしてくれ。」
「・・・わかった。明日ね。」
「あぁ。」
玄関まで見送ることもなく、俺はパソコンの前に座ったままだった。
その間に夏実は部屋を出て行って、洗濯物は全て畳み終わっていた。