天使のキス
「あ、そうだ!感想聞きたいからさ、一緒にお昼食べようよ!」


「…はあ?」


圭子の発言に、しばし固まる。


「いいなー、勇。女子の一緒にお昼だってさ。」


一緒にお昼をとっているクラスメイトが冷やかす。


「いいじゃん!行ってこいよ、一日くらい花持ってもいーじゃん。高校生なんだからよ。」


その中の一人もまた、からかって言う。


「じゃ、行こっか!」


…おいおい、決定かよ。
教室の入り口で待っている結衣も一緒に、裏庭に向かった。


「そういえば勇、生徒会長と一緒に幸田先生の手伝いしてるんだっけ?」


裏庭の一番大きな木の下のベンチで食事を取る。
圭子と結衣は女子高生らしい、可愛らしいお弁当を広げていた。


俺の手にはさっき購買で買ったサンドイッチ。


「勇の事だから、どうせ何かに釣られたんじゃないの?」


と、結衣がからかうが、図星だ。
喉に詰ったサンドイッチを出すため、胸を叩く。


「ゲホ…ッ、何で分かったんだよ」


“やっぱり”というような顔をした結衣は、笑った。


「それでさ、幸田先生…クリスマスパーティーの話…してた?」


結衣がいつもと違う表情で、こちらを見て言った。
また、嫌な予感がする。


「してたしてた。マサキがジンクスがどーのこーのって言って、それを喜んで聞いてた。」


「って事は…先生、行くのかな?」


「さあ…そこまで言ってなかったけど、行くんじゃねーの?」


平静を保っているけど、嫌な予感は段々、大きくなっていく。


「なんだよ…結衣。なんか、幸田に来てほしいみたいじゃん」


からかう様に確信に触れる。勘違いであってほしいと、頭の中でずっと、願っていた。


「結衣…、もしかして幸田先生が好きなの?」


圭子も俺に続いて、結衣に問い掛ける。
結衣の顔は段々赤くなっていく。


俺の心臓はドキドキと脈打っていた。
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