知らない世界



忠司はわたしの顔を見ると
泣きながらわたしの胸に飛び込んできた。

「寂しかったよね、忠司」

「うん‥でもね、
 お父さんが一緒だったから
 そんなに寂しくなかったよ」


そっか!
お父さんもお母さんに殺されたから
一緒の世界にいたんだ‥


「お父さん元気??」

「うん、元気だよ♪
 お父さんがね、
 何で紗奈はまた生きられたのに
 生きない道を選んだんだ。
 バカだな…って怒ってたよ」

「……」

「僕もお姉ちゃんには
 生きてほしかったな。
 僕は殺されたから
 生きるか生きないかの
 選択はできなかったから。
 僕の分まで生きてほしかった」

             
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