妖狼と少女





クリティアは人語を操る妖狼。
人が3人は乗れるような大きな身体をもち、長生きで物知り。そして強さを兼ね備えている、この森のボス的存在だ。


しかしスーはただの人間。まだ成人してすらいない小娘だ。
だが、こんな森で暮らしているからか身軽でたくましい。





そんな二人の出会いは今から遡ること17年。





あの日は雨が降っていた。


クリティアがいつものように獲物を求めて森をさ迷い歩いていたときだ。

雨の音に混じって微かに何者かの泣き声が聞こえてきた。


普段不審なモノには近付かないクリティアだが、この時は何故かその正体を確かめに行った。




そこは普段はあまり近付かない森の出入口付近。
自慢の嗅覚を使い泣き声の主はすぐに見つかった。


それは人目を避けるように茂みの奥に毛布でくるまれ隠されていた。





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