彼と彼女と彼女と彼と
今日も、後ろから郁美が声をかけてきた。


「恭っ」


「…郁美」


俺が振り返ると、郁美は嬉しそうに笑った。


俺が振り返るだけでよくそんな嬉しそうに笑うよな。


…めでたいやつ。


「おはよっ」


「…おぉ」


俺たちの朝の会話はこれくらい。


黙って、学校に向かっている。


そして歩道橋のところくらいで、いつも会うんだ。


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