彼と彼女と彼女と彼と
そして徹平は大胆な行動に出た。


「急げっ!!ほら、郁美!!」


「きゃっ、徹平!!」


徹平が郁美の腕を掴んで走り出した。


「お前らも走れよっ。成績に響くぞ!!」


徹平の大きな声がちょっとだけ弾んで聞こえる。


…お前は…ほんとあからさまだな…


「…奈々、俺らも…」


走ろ、と言いかけながら隣を見ると、そこには今にも泣きそうなぐらい悲しい顔をした奈々がいた。


「奈―――」


「…っ…私らも行こ!!恭!!」


「あ、ああ」


奈々は急に俺の腕を掴んで走り出した。


…徹平を追いかけて。


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