彼と彼女と彼女と彼と
「早く用意して~。郁美と恭、行っちゃうよ」


「…お~」


全く。


朝一番は郁美を出してもボーっとしてるんだから。


「ほらほら、ご飯食べて。制服着替えて。教科書とか用意したの?今日辞典いるよ」


あたしがそう言いながら徹平の部屋に入ろうとすると


「ばかっ、入んな!!」


いきなり徹平が叫びだした。


流石の私も少し後ろに下がる。


「な、なによ。いきなり」


「そうよ、徹平。どうしたの」


「だって奈々、お袋みてーなんだもん。部屋探られそうで怖いわ。もし今奈々にイケない本とか見つけられたら俺恥ずかしくて立ち直れないわ」


「な!!」


「…徹平ったら…まぁいいわ。早く食べちゃいなさい。安心して。お母さん、あんたの部屋に許可なしで入ったことなんてないわ」


「おー」



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