彼と彼女と彼女と彼と
「用意出来たぜ~。行こ」


「え、早っ!!」


「俺様を舐めんじゃねぇよ。早く行こーぜ」


グッと親指を立てて、偉そうに言う徹平。


…不覚にも、ときめいた。


…徹平が隣にいたら、心臓がいくつあっても足んないや。


あたしの心臓はずーっと、ドキドキドキドキ音を立ててるよ…


「そーいえばさ、今年の夏休みの旅行、行けなくなるかも」


「え、そーなのっ?」


夏休みは毎年、家族ぐるみで旅行に行くんだけど…


「今年は受験でまずいからって、親父が。ま、確かにやばいんだけどな。俺バカだし」


「…そっかぁ」


…残念だな。


毎年楽しみにしてるのに。


ずっと徹平と一緒に居れるんだもん。


二人きりになれることだって、ロマンチックな雰囲気になるとこだって、あるかもしれないなって、ちょっと期待してたのに。







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