眠る心
繭子は、朝から何やら
そわそわして落ち着かない。
 
それもそう、今日は
柊雨と凪子が二人きりで
外で食事をする日なのだ。
 
ついさっき、柊雨が愛車で
家の下まで迎えに来て
出かけて行ったのである。

繭子は、時計を見つめながら
思った。

どんな些細な事でもいい
凪子が思い出してくれれば
いいのに・・・
往生際が悪い事は
分かっている、だけど・・・ 

そう願わずにはいられない。

凪子がどんなに柊雨を
愛していたか。

繭子は、一番近くで
見てきたのだ・・・

これがもう、二人で過ごす
最後の日になるかも知れない。
 
そんな思いを胸に、柊雨は
黙って愛車を運転する。
 
その姿を助手席で緊張しながら
見つめる凪子。
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