眠る心
それからの俺にも
不幸な出来事は立て続けに
起こり、俺の心は
何度も何度も壊れた。

「もう、大切な人を
 失いたくないんだ
   
 俺と一緒にいれば
 なぎは不幸になるよ」

「不幸になったっていいよ」

なぎは、そう言って
俺を抱きしめる。

「私が、しゅうちゃんに
 惹かれたのは
 私たちが似てたから」

そう言って彼女もまた
両親が亡くなっている事を
話してくれた。

自分が今まで男の人と
向き合えなかったのも
  
全く父親を知らずに育った為
に、異性の事を気持ち悪く
嫌いだと思った事から出会い
を遠ざけていたらしい。

でも自分には、何でも話せる
姉という存在が、いつも傍に
居てくれたおかげで心の中に
不安な気持ちを抱え込まずに
済んだと彼女は話してくれた

「他の人なんて欲しくないよ
 しゅうちゃんが
 ずっと欲しい」

「俺は、もう二度と
 お前を傷つけない」

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