眠る心
一粒の涙

最後の口づけ

思い出を語り合ううちに
私の瞳に、涙が溢れていく。

私は、しゅうちゃん

貴方との掛け替えの無い
大切な思い出の全てを忘れ

あなたを忘れて

紫季に恋をした。

私は、ふと思った。

私が、こうして貴方の
腕の中で幸せを感じている今

あの人は、私を失った事

深く悲しんでいるはず・・・

私は、紫季を傷つけてしまった

私は、そんな自分が
やっぱり許せない。

私の過ち・・・それは

事故の後、失くした記憶と
向き合おうとはせずに

目を逸らしたこと。

思い出す事を拒絶して
私は、安らぎに逃げた・・・

優しく接してくれる紫季に。

「なぎ・・・?」
< 216 / 236 >

この作品をシェア

pagetop