眠る心
「はい
 一緒に行きます」

「戻って来たばかり
 なのに、ごめんね」

帽子を深く被った柊雨と
カーディガンにパジャマ姿の
凪子は、二人並んで病棟を
移動するが、言葉がお互いに
出てこないまま、無言で
歩き続ける。
  
私は、行き交う人・・・

正確には、ここは病院なので
患者さんや、先生、看護士さん
お見舞いの人、すれ違う全ての
人が、柊雨さんの方を振り返る

彼の立ち姿、存在感には誰もが
圧倒されて目を離せなくなる。
  
私が、こっそり彼のキレイな
横顔に見惚れていると
彼が私の方をみた。

「何?」

私は首を左右に振り
心臓はドキドキと音を立てた。
    
精神・神経科の診察室の前で
私達は別れた。

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