眠る心
凪子は病室で一人、柊雨が
戻って来るのを待っていた。
  
貴方が、葛藤している
ことも知らずに・・・
   
重く・・・ドアが開く。
  
「まゆちゃんは
 まだ戻ってないの?

 遅いね」
 
柊雨さんの表情はどこか暗く
そんな彼を見つめる私自身
の胸も痛む。

「なぎ、ごめん
 
 お前を苦しめるつもりは

 ないんだ
   
 俺の存在が、お前を
 苦しめるなんて
 ・・・ごめん」

貴方は、そう言いながら
顔を伏せた。
  
私は、柊雨さんに
何も言えなかった。

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