眠る心
忘れ物を持って、病室を慌てて
出て行く私は、繭ちゃんと
エレベーターを待つ
柊雨さんの後ろ姿を見つける。

「シュウ、さん」

驚き振り返る柊雨に近寄ろう
とした凪子の足がふらついて
倒れそうになる。

咄嗟に柊雨は、凪子を
抱きとめる。
   
凪子は、柊雨の腕を強く握る。

「なぎ、大丈夫」

「シュウさん
 これ、忘れてます」

凪子の手から差し出された
サングラスを柊雨は受け取る。

「ありがとう」

エレベーターが止まり
ドアが開く。
   
繭子は先にエレベーターに乗り
柊雨と凪子に手を振り
気を利かせてドアを閉めた。

「わたし・・・」
 
< 56 / 236 >

この作品をシェア

pagetop