眠る心
行き交う一般の人達が柊雨の事
に少しずつ気づき出す。

「みんなが見てますよ 
 早くお店に帰ってください」

「君が一緒に戻るなら」

そう言いながら手を差し出す
柊雨の冷たい手に触れる凪子
  
その手を柊雨は強く握る。

私は・・・

何も憶えていない。

貴方との大切な思い出の

何もかもを

失ってしまった事

私は、気づかない・・・

あの時、私は憧れの貴方に
触れる事ができて

ものすごく、嬉しくて

たった今、呼吸が止まって
しまっても構わない
とさえ、思った・・・

ナギ・・・

忘れたままでいいの・・・?
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