宛て名のないX'mas
「何!?裕美、いつのまにメアドゲットしたの?よかったじゃん!」
「まあね。でも何か緊張しちゃって…」
「確かに孝志先輩、超~かっこいいもんね。やっぱ、相手がカッコよすぎると、何をするにも気を使うっていうか、自分じゃ釣り合わないんじゃないかって常に不安っていうか」
「そう!そうなの!」
裕美は必死な目で前に乗り出してから、は~とため息をついた。
里奈は一瞬後ろに引いてから、いかにも『あたしは経験豊富だから、気持ち分かるわ』って顔で裕美の肩に手を置いて、うんうんと頷いた。
「そんなもんじゃない?そう考えると、憧れと恋をごっちゃにするのも、考えもんよね」
「だよねぇ…」
「あ、でもさ、それ亮太くんに聞いたんでしょ?メアド」
「うえ?ああ、うん」
裕美はポカンとした顔でポテトに手をのばし、「何で?」と聞いた。
「いやー、だから何ていうかさ。アンタ達って、本当の所どうなの?」
「は?」
「実はちゃっかり付き合ってるとか!」
「ごほっ!」
裕美は思わずオレンジジュースを吹き出しそうになった。
そして、咳き込んですぐに、「ないないない!」と叫んだ。里奈は、不思議そうに首を傾げる。
明らかに面白がってる目だ。
「でもアンタ達見てると、二人は両思いなんじゃないかっていつも思うけど、あたし」
「は?!何であんなヤツ」
裕美は顔をしかめた。
「亮太くん、結構人気あるんだよ~?顔だって、ちょっとかわいいしさぁ」
「里奈、視力合ってないんじゃない?」
「あ、そういえば亮太くん、この前告られてたよ」
「えっ…!」
「う、そ。ほらやっぱり、動揺してるじゃん!」
「ち、違っ!亮太は、そういうんじゃなくて…」