宛て名のないX'mas
「もう茶化さないでよ。めちゃめちゃ仲いいじゃん!付き合いも長いし」
「これ以上は黙秘します」
「何よ、ブー」
里奈の徹底攻撃に反撃するように、裕美はちゃんと向き直って言った。
「あたしはね、孝志先輩みたいに大人な人が好きなの。ていうか孝志先輩が好きなの!勘違いされちゃあ困りますよ!お客さん」
「ふぅーん?」
里奈がわざとらしく頷くので、裕美はさらに必死に主張する。
「つーか運命。初めて見た瞬間、こうびびっときたんだもん」
そんな時、裕美は窓の外の人ごみの中に、知っている顔を見つけた。
「この人だって…」
「裕美?どしたの?」
その人物は、裕美に気がつき、笑って手を振った。
「孝志、先輩…」
「え?」
(やっぱり……運命だわ!)
裕美は目をキラキラと輝かせた。孝志は、マックに入ってくる様子だ。
「ちょ、どっか隠れて!」
「はっ?え、ちょっと!」
裕美は強引に里奈をどこかへ押しやり、咳払いをして、髪をちゃちゃっと整えて、ちゃんと椅子に座りなおした。
孝志はキョロキョロと辺りを見渡し、裕美を見つけて近寄った。
そして、爽やかに笑った。