宛て名のないX'mas
【Re:今日はサンキュー!!】
今日は寝ちまってごめん(>_<)課題、何とか終わらせた!助かった!!
これで試合も大丈夫そうだわ(^_^)v
孝志先輩とうまくいってる?孝志先輩、すげぇいい人だから頑張れよ!
―――――――
「……」
(何で急に、そんな素直なの…)
裕美はなぜかすごく寂しい気持ちになった。
携帯を閉じ、カレンダーに目をやる。
クリスマスまで、あと四日。
裕美は鞄から、編みかけのマフラーを取り出した。
孝志にあげるのは、引かれそうでイヤなんて言ってる自分。
だったら、誰にあげるんだろう。
誰にあげたいんだろう?
ただ、頭の中に繰り返し映る、亮太のピースサイン。
亮太じゃない。
好きなのは、孝志。亮太なんかじゃない。
裕美は、複雑な気持ちを抱えながらも、せっせと手を動かして、編み進めていく。
誰にあげるでもない、宛名のないマフラー。
でも、裕美はクリスマスまでに絶対仕上げなくちゃと決意し、一生懸命に向き合っていた。