宛て名のないX'mas
ACT 3
クリスマスまであと3日。
裕美は目を覚ました。朝の…11時。
「ぎゃーっ寝坊!」
(今日は、孝志先輩の結果が出る日だから、早く起きようと思ってたのに!)
裕美は慌てて携帯を見た。
メール2件。
(やっぱりもう来ちゃってる!)
両方、孝志からだ。
裕美はメールを開いた。
起きたばっかりなのに、興奮して、手がうまく動かない。
【Re:桜咲く!】
裕美ちゃんおはよう!大学、無事合格!一応、一安心。応援ありがとね(^^)
―――――――
「よかったぁーっ!受かったんだ、先輩。ん?もう一件」
【Re:無題】
それで、クリスマスの誘いだけど、全然OK!二人で行こう!すげぇ楽しみ(^^)
―――――――
「……」
裕美はそのまま、もう一度ベッドに倒れこんだ。
デートだ。
クリスマス、憧れの孝志とクリスマスデート。
夢でも見てるんじゃないだろうか?
「いで、いでで」
裕美はほっぺをつねったが、どうやら現実のようだ。
ばっと立ち上がって、また花を飛ばすかと思いきや、不安そうな顔で、
「ど、どうしよう~」
と呟いた。
どんな服を着ていけばいい?ご飯食べるとき、綺麗に食べられるかな?
会話が止まったり、話つまんねぇなって思われたらどうしよう?
嬉しさより、不安の方が大きいなんて。
(恋愛って大変なんだ。ロマンチックなクリスマス過ごすには、いっぱい苦労しなくちゃいけないんだ…)
裕美は一人、寝癖頭で、そんなことを思った。
胸の奥に、妙な焦りを感じた。色んなドキドキが混ざって、複雑な気持ちになった。