雪王子と太陽姫
「唯ちゃん、なんか先輩が呼んでるよ?」


そんなことを考えていると、
あたしは男の先輩に呼び出された。


「あの…誰ですか?」


知らない人だから、一応聞いてみる。


「あのさ、今日の放課後 屋上に来てほしい。」


やっぱりいつものパターン。

こうやって、質問をスルーされるのはもう慣れっこだ。


「なんでですか?」


「なんでも、絶対ね?」


そう言い残し 見知らぬ先輩は、自分の教室に帰っていった。


それと入れ替わりに、リコが声をかけてきた。


「唯!! あの先輩、雪野くんと同レベルのカッコよさで有名だよ!!」


「そう…なの?」


「そうだよ!!
あれは、多分告白だな…どうすんの、唯!?」


「どうするって…断るよ。
見ず知らずの先輩だもん。」


「んもう~勿体ないなー。」


「勿体ないって何それ…υ」


"好き"がよく分からない。

"恋"が分からない。


まだ、時間がある。

ゆっくり…分かればいい。


そんな事を思っていた、

高校1年の春中旬。


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