雨のち晴れ模様。
■□嵐前の晴れ間。□■
《愛葵》
入学式も無事終わり、今は部活見学中。
私は同じクラスになった笹橋小の鳴海伊舞姫(なるみいぶき)と校庭を歩いていた。
「あ、陸上部やってる~!!天だ!!」
「…天?」
「あ、今は天先輩かな?私の幼なじみなんだ♪」
「そうなんだ…」
なんでだろう。
胸が痛い。
「天先輩、カッコいいなぁ…」
「だね…」
「私、陸上部にする!!愛葵も一緒にやらない?」
「え!?」
「うん、そうしよう。決まったね!!」
「は!?」
「良いでしょ~…」
目を潤ませて懇願する伊舞姫。
かっ可愛い…
「分かったよ…」
「やった~!!じゃあ愛葵に誰にも秘密なこと教えたげる!!私天先輩のことが好きなんだ…」
チクンチクン。
また胸が傷みだした。
私はどこかで、伊舞姫が、天先輩のことを憧れ止まりでいてほしいと思っていたんだ。
「協力してね♪」
可愛い笑顔で言う伊舞姫。
「うん…」
私は苦笑いで答える。
なんで?
なんでこんなに胸が痛むの?
私は自問自答を繰り返す。
これじゃまるで天先輩が好きみたいだ…
「愛葵?どうしたの?」
いきなり声をかけられ、ハッとする。
目の前に愛梨がいた。
「大丈夫?」
「あ、うん…」