キス魔なアイツ
今、私は谷川くんとなっちゃんに挟まれて、食べ飲みをしている。
いつもは強制的に銀先輩の隣だから変な感じだけど、自由に飲めるし、今日は楽しい。
銀先輩は私と背中合わせになる形で少し離れた所で、違う仲間と食べているようだった。
あれ?
今日は取り巻きのお姉さま達がいないんだ。
「銀先輩、最近は取り巻きを追い払ってるらしいよ」
「え? 本当? 何か意外だね」
「先輩お気の毒。報われない努力だねぇ」
「え? 何?」
「何でもな~い」
なっちゃんはそれっきり教えてくれなかった。
少し酔い始めた、なっちゃんは、いきなり…
「ホイホイ!」 と呟いた。
みんなして何なの? ホイホイ、ホイホイって…。
「じゃぁ、始めますっか」
右隣の谷川くんが、なっちゃんの言葉に合わせて私の方に振り向いた。
右手が私の顎を掴む…
左手を私の頬に添える…
谷川くんの顔が近づく…
「え? え?」
「環、キスしよっ」
目の前にはニッコリ笑う谷川くんの姿。
えーー!!!!
どうしたの? いきなり!!
周りの先輩達が、ヒューヒューとはやし立て始めた。