キス魔なアイツ


何分キスしていたんだろう。

私が抵抗しなくなった頃、それが分かったように先輩の顔が離れた。

先輩がじっと私を見つめる。その目から逃れられない。

「その顔を見てもいいのはオレだけだ」

先輩は私をギュッと抱きしめた。

先輩の匂いが私の体に入って来る。

先輩、私ね。今のキスでみんな分かっちゃったよ。

「イヤだと言ったら?」

「ペットのくせに生意気だ」

「ペットは優しくしてくれる人にしか懐かないんですーっ!」

「…………」

「先輩は私を泣かすヒドい飼い主ですもんね」

「反省してる」

「ちゃんと言ってくれないとペットは分かりませんよ」

「チッ…」

「クスッ。じゃあ、私は優しい飼い主を探しますから解放して下さい」

「あ~!!もう! お前なぁ。降参だよ。

好きだ。好きなんだ。これからは優しくするから隣にいてくれ。

あ~ハズい」

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