キス魔なアイツ
「で。お前の返事はどうなんだよ?」
「ワン!」
わざと尻尾を振るように、銀先輩の腕の中で体を揺らしてみる。
「誘ってんのかよ」
先輩が困った顔してる。今まで散々悲しい思いしたんだもん。このぐらいの仕返しならバチが当たらないよね!!
「タマは犬なんでしょ?」
「お前ってヤツは…」
「ワン!ワン!」
「やり過ぎた。後で覚えてろよ。環」
名前で読ばれたの、初めてだ。何だろう。くすぐったい。
「環は人間だよ。オレの女だ。いいな?」
もう私も認めちゃうよ。
「銀先輩、好きですよ」
「何? その上から目線は」
"マジ。ムカつく"
笑顔でそう言い放った銀先輩は、また私にキスの嵐を降らせて来た。
やっぱり先輩はキス魔だったね。