キス魔なアイツ


「それで環(タマキ)は、今回も記憶がないの~?」

"バカねぇ"…なんて言いながら紅茶に口を付ける友達のなっちゃん。

大学近くのカフェでまったりとお茶をしてる私たち。

「う~っ」

「唸ってもしょうがないでしょ?」

「だってぇ。ねぇ。私っていつもどんななの?」

「どんなって至って普通の酔っ払いよ。環はいつも聞くけどさ、特に変わった事なんて何もないんだよ」

「だってぇ」

なっちゃんだけには正直に話している。唇の違和感について。

「環の気のせいなんじゃないの? 二日酔いだと唇が腫れる症状が出るとか?」

「なっちゃん笑ってるじゃない」

「だってぇ。そんな症状聞いた事ないんだもん。でも誰なんだろうね。環の唇を奪うのは」

ニコニコと口角を上げて笑うなっちゃんは、とっても楽しそうだ。

「いいじゃない。減るもんじゃないし。今は彼氏もいないんだし」

もうすっかり楽しんでる。他人ごとだと思って!!
< 2 / 30 >

この作品をシェア

pagetop