キス魔なアイツ
「それで環(タマキ)は、今回も記憶がないの~?」
"バカねぇ"…なんて言いながら紅茶に口を付ける友達のなっちゃん。
大学近くのカフェでまったりとお茶をしてる私たち。
「う~っ」
「唸ってもしょうがないでしょ?」
「だってぇ。ねぇ。私っていつもどんななの?」
「どんなって至って普通の酔っ払いよ。環はいつも聞くけどさ、特に変わった事なんて何もないんだよ」
「だってぇ」
なっちゃんだけには正直に話している。唇の違和感について。
「環の気のせいなんじゃないの? 二日酔いだと唇が腫れる症状が出るとか?」
「なっちゃん笑ってるじゃない」
「だってぇ。そんな症状聞いた事ないんだもん。でも誰なんだろうね。環の唇を奪うのは」
ニコニコと口角を上げて笑うなっちゃんは、とっても楽しそうだ。
「いいじゃない。減るもんじゃないし。今は彼氏もいないんだし」
もうすっかり楽しんでる。他人ごとだと思って!!