キス魔なアイツ
*唇の誘惑
「ん…、ぅ~ン ふぁ…ん イ…ャ…ン ハァン…」
甘いカクテルの風味が残る口内…
混じるのは、オレのタバコの匂いを残した舌。
ピチャピチャと水音だけが響き渡る。
やべぇ
今日も止められそうにない。
環がベロベロに酔っている事を良い事に、口内を味わい尽くす。
いくらやっても止まらねぇ。
「環、環、好きだよ。オレを見ろよ」
叶わない夢だと思いながらも、酔ってるお前に聞いて欲しいと思ってしまう。
「せ…んぱ…ぃ」
ドキッと心臓が跳ねた。
環がちょっとの事では起きない事も、今の情事が記憶に残らない事もだいぶ分かって来た。
お前が発した「先輩」は、オレなのか? それとも元カレなのか? そう考えると醜い嫉妬心が顔を出す。
「ムカつく」
オレはまた貪るように唇を重ねた。
止めたくても止まらねーんだよ。