キス魔なアイツ
*出会い
「初めまして」
恥ずかしそうにニッコリ笑うその子には、顔合わせ前の触れ込みで、彼氏がいる事は知っていた。
知ってても、ほぼ一目惚れだった。
でも他人のモノ。
だからって大人しくなんてしてられない。
だから、オレはお前を無理矢理ペットにしたんだ。
ペットなら、堂々と側に置いて置けるとその時は考えたんだ。
でも2人きりはツライ。 だから、寄って来る取り巻き達はそのままに、オレ達の関係がスタートした。
気を抜くと、お前を見つめてしまう。
唇を見るとキスしたくなってしまう。
彼氏の話なんかが聞こえて来ると、醜い嫉妬なんかしてしまう。
自分の平静を保つ為にお前に冷たくし続けた。そうでもしねぇと、やっていけねぇ。
それがどれだけお前を傷付けてたとしても。
そしてこのやり方が間違いだったんだと気付いたのは、お前が彼氏と別れたと聞いた半年前からだ。
フリーなんだから何でも出来るのに、今更この関係を変える事は意外と難しかった。
その間に、また誰かに取られるかもという焦り。
不安から、ついペット扱いが酷くなる。
でも環が、オレの言うとおりに動いてくれる事で、安易に安心を求め続けた。
オレは、もうこれ以上、どうすればいいのか分からなかったんだ。