キス魔なアイツ
*嫉妬
「夏会を始めま~す」
谷川のコールでバーベキューの準備が始まった。
久し振りの環の姿。
ピンクの花柄のシフォンチュニックが似合っていて、今日は一段とかわいい。
でも。こじれてしまった関係は、そう簡単に修復出来るはずもなく、オレは声を掛ける事さえ出来ない。
目が合ってもあからさまにすぐ反らされてしまう。
どうすればいいんだよっ!!
サークルを辞めると言っている環だ。時間がない。気持ちばかりが焦る。
それなのに。
オレが近くにいないのをいい事に、こことぞばかり声を掛ける野郎たち。お前たちも環狙いなのか?
ムカつく。
絶対に環は誰にも渡さない。渡すもんか。
さらに『環』と呼び捨てにする谷川にイライラが増していく。
ムカつく。ムカつく。
その谷川が環にキスを仕掛けやがった。オレの体は考えるより先に動いていた。
無理矢理に環の体抱き、離れた所へ連れ去る。
後ろで聞こえた"ホイホイ"という言葉。あぁ、オレはアイツ等らにはめられたのかもな。
キッカケは何にしろ、環の体に触れてしまったオレはもう止まらない。
ムカつく。ムカつく。ムカつく。
環の体を近くの木に押し付けて、気持ちをぶつけるようにキスを繰り返した。
抵抗しながらも、甘い声を出す環に、オレの行為は深くなるばかり。
抵抗するなんて許さねぇ。
オレだけを見ろよ。
見てくれよ。