キス魔なアイツ
「でもきっと銀(ギン)先輩か、谷川(タニカワ)あたりじゃないの?」
「そうかなぁ」
「うん。私の予想では」
銀先輩はサークルの先輩で、私を普段からペットのように扱い、色々とこき使われる。
女の子にはすごく優しい先輩なのに、私の扱いは結構ヒドイ。
それは我がサークル内では有名な話で…。みんなだって見て見ぬ振り。私だってこれでも女の子。結構傷付くんだよね。
谷川くんは酔うとキス魔なる事で有名。実際私も何度も彼がキスしてるとこ見てるし。
でも。同じ2年生の谷川くんとは会えば話す程度の友達だけど、飲み会の席では今まであまり近くになった事がないんだよなぁ。
どっちもあまり現実味がないような。
「う~ん」
「悩めよ、乙女」
「なっちゃんもヒドイ」
「まぁまぁ、次の飲み会は私も注意して見ててあげるからさ、そんなに落ち込まないの」
「うん。私も頑張ってお酒控えてみるからさ。お願い」
いつも隣に座る銀先輩に次々と飲まされるから、つい飲みすぎちゃうけど、次回は絶対断ってやる!!
私は決意も新たに、目の前にあるケーキにフォークをぶっさした。
「頑張って」
そんな私を見て、なっちゃんが大笑いした。