キス魔なアイツ
銀先輩は、1個上の先輩でサークルの中心人物のひとり。
出会った最初の日に、私を『タマ』と呼び、こき使い始めた。
最初は私だって反抗したよ。
「タマって、私は猫じゃありません!!」
「お前バカか? タマは犬だ。実家の近所にいるんだよ。お前そっくりのタマって言う犬がよ」
それ以来、私は銀先輩のペット…、タマって言う犬になった。
何度か反抗してみたものの、キツイ口調に睨み付けてくる鋭い目。
他の女の子には優しいのに、私にだけ冷たい先輩。
やっぱりショックで、泣きそうになった事だってある。
でも、何をしても無駄な抵抗で、数回目で諦めて、今に至るんだ。
もう、私が先輩の犬になって1年が過ぎようとしている。またギラギラとした暑い夏がやって来る。