七色の情景
水
「水色ってさ。」
貴方は鏡を見ながら、
そう言った。
「水の色の筈なのに、けっこう濁ってるよな。」
私は応える。
「まあ、純色である青に、白を混ぜてしまっているからね。」
けれど、貴方の瞳は、
水色だけれど透明よね。
私は心の中で呟く。
「……だよな。何で、白を混ぜちまったんだろうな。」
「そうよね…。考えたことなかった。」
「青の方が、よっぽど透明だ。」
「不思議ね…。交わったのは純白だったはずなのに、どうして濁ってしまったのかしら…。」
「それは」
視界が、水色になった。
「青を知った純白は、純白でなくなったからじゃないかな。」