君と彼女
――ガラッ・・・
美術室の独特な香り。
美術室の落ち着く空間。
それが好き・・・・・・。
「はぁ・・・」
大きなため息を1つ。
一番後ろの席に座り、寝ようと思ったその時。
――ガラッ
えっ??
ドアを開けたのは長身で栗色の髪の毛をした、男の子だった。
くりっとした目に吸い込まれそう・・・。
「あ・・・」
男の子は近づいてきて、私の斜め前の席に座った。
「初めましてっ♪」
可愛い顔をした男の子の笑顔につられ、自分まで笑顔になりながら
「はじめましてっ!何年なん?」
「1年やで」
「一緒やなぁ」
「ほんまかぁ」
私達がお互い知り合ったのは、何年生かと
「うち、B組やで」
「俺D組」
クラスと
「名前は?」
「尾崎 海翔」
「うち高瀬 加奈」
名前だけ。
それ以外は聞かない。
もちろん、また会おうなんて約束さえも・・・。