ビル群に咲く
隔絶的アリストクラシィ
 目の前で今、途方もなく高い高いビルが一棟、途方もなくデカいデカい音を立てて崩れた。
 多分、中にいた人は結構死んだんじゃなかろうか。私はニヤリとほくそ笑んだ。
 さて……お次はタワー型のビル。壊し方は、「大爆発」で。私はEnterキーを軽く押した。
 その刹那、眩い光がタワービルから発せられた。目が慣れぬうちに――ビルは爆発した。
 存外、音はしなかったが、光と炎は強烈だった。さようならさようなら、中にいた人たち。
 リーマンもOLも事務員も掃除のババアも、皆さん仲良く死亡したことでしょう。良かったね良かったね。冥府でもご幸せにどうぞひひひひひ!
 ……何故私は今、この様な大量虐殺テロをしているのか。何故狂人の様相を呈しているのか。その理由を知るには、少し遡る必要がある。
 それは昨日の晩、夏の長い昼寝から覚めた時の事だった。
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