ビル群に咲く
さて、先ほど壊したタワー型ビルの経験から言うと、どうやら「大爆発」は迫力に欠けるらしい。次は「消滅」でどうだろう。
ボタンを押す。このソフト、実行すると二つのウィンドウが出てくる。片方のウィンドウには本物の街の景観が映し出される。いわば地図ソフトのようなものだが、リアルタイムで映し出されており大変高性能だ。地図としても素晴らしく高画質で、ズームインすれば街を歩く人の鼻毛の数を数えることもできるし、ズームアウトすれば地球は青かった。
もう片方のウィンドウが「大量破壊兵器」と呼ぶに相応しい。地図ウィンドウで選択した範囲を破壊するのだが、壊し方の指定や破壊の規模、時間差で破壊することも可能だし、何なら殺す人間の数だって指定できる。私は「オート」にしており、極めて自然に人が死ぬようになっている。
「消滅」は最も迫力に欠け、最も残酷だった。
どうなるのかと半ばわくわくしつつモニタを見ていると、跡形もなくそのビルは「消えた」。そこにはだだっ広い土地が残されていた。「空き地」の看板と共に。
私はぞっとしたが、同時にアンリアルを感じていた。
15インチそこらの狭い狭いモニターに、まるで映画か何かのような光景が映し出されている。
窓の外を眺めた。重苦しくにごった灰色の空気が、カーテンの隙間から漏れ出している。モニタにも、同色の空が控えめに存在していた。私は深呼吸した。
街を眺め範囲を選択、壊し方を指定、Enterキーを押し、ビルがケシズミになる。3分程度の準備と0.1秒の実行、そして未来永劫の結果。
おぞましく、軽々しい。
ボタンを押す。このソフト、実行すると二つのウィンドウが出てくる。片方のウィンドウには本物の街の景観が映し出される。いわば地図ソフトのようなものだが、リアルタイムで映し出されており大変高性能だ。地図としても素晴らしく高画質で、ズームインすれば街を歩く人の鼻毛の数を数えることもできるし、ズームアウトすれば地球は青かった。
もう片方のウィンドウが「大量破壊兵器」と呼ぶに相応しい。地図ウィンドウで選択した範囲を破壊するのだが、壊し方の指定や破壊の規模、時間差で破壊することも可能だし、何なら殺す人間の数だって指定できる。私は「オート」にしており、極めて自然に人が死ぬようになっている。
「消滅」は最も迫力に欠け、最も残酷だった。
どうなるのかと半ばわくわくしつつモニタを見ていると、跡形もなくそのビルは「消えた」。そこにはだだっ広い土地が残されていた。「空き地」の看板と共に。
私はぞっとしたが、同時にアンリアルを感じていた。
15インチそこらの狭い狭いモニターに、まるで映画か何かのような光景が映し出されている。
窓の外を眺めた。重苦しくにごった灰色の空気が、カーテンの隙間から漏れ出している。モニタにも、同色の空が控えめに存在していた。私は深呼吸した。
街を眺め範囲を選択、壊し方を指定、Enterキーを押し、ビルがケシズミになる。3分程度の準備と0.1秒の実行、そして未来永劫の結果。
おぞましく、軽々しい。