現代版 光源氏物語!
「じゃ、行くか」

「えっ?」

社長はわたしの手を掴んだまま、突然歩き出した。

「いっ行くってどこにですか?」

「買い物だ。その事務員の格好じゃ、秘書なんて勤まらないぞ」

「今日は大目に見てくださいよ! と言うよりお金あんまり持っていません!」

情けないことだが、会社に大金を持ってくることはあまりない。

「心配するな。秘書課配属祝いだ。俺が奢ってやる」

「それって会社のお金じゃないですか!」

「俺の給料から出るから、横領じゃない。経費で落とそうなんて考えていないから、心配するな」

それなら一安心…ではなくて!

「これからって、仕事はどうするんですか?」

事務でも秘書でも引き継がなければならないことが、山のようにあるというのに!

「最初の仕事は俺に付き合うことだ。分かったらとっとと行くぞ」

「えっ~?!」
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