現代版 光源氏物語!
「まさか。俺の選んだスーツがおかしいワケがないだろう? 見惚れていただけだ」

そう言ってわたしの頭をぽんぽんっと優しく叩いた。

…コレって、妹扱い? でも悪い気はしない。

社長という肩書きを取れば、この人は歳の離れた兄のような感じがするから。

「荷物はお前の住所に送り付けた。今夜届くようにした」

「あっ、ありがとうございます」

何はともあれ、タダでスーツを手に入れられたのは悪くない。

「じゃ、次は美容室だな」

…しかし社長は甘くなかった。

「えっ? 次?」

「その顔と髪型で、秘書が勤まると思うのか?」

グサッ★

社長の言葉と、冷たい視線がわたしの胸を貫いた。

たっ確かにファンデーションを塗って、眉をかいて、口紅を塗っているだけだけど…。

そして髪は後ろに1つに結っているだけ。

まだ事務の匂いが残っていると言っても過言じゃないけど…。
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