現代版 光源氏物語!
イギリス人とのハーフなだけに、アンティークドールのように美しい人だ。

本当に生きて、動いているのが不思議なぐらい、キレイな人。

…この人がわたしの上司なのか。ちょっと気が重いな。

帰る準備をしていると、社長室から社長が出てきた。

「お帰りですか? 社長」

平の秘書達(わたしも含め)が頭を下げる中、課長が前に出て社長に尋ねる。

「ああ、ゆかり。お前も仕事終わったんだろう?」

「引き継ぎは何とか…」

いきなりの人事異動だったから、細々としたことがまだ残っていた。

多分、1ヶ月は事務と秘書を行ったり来たりになる。

「そうか。なら食事に付き合え」

「…はい?」

えっと、もう定時は過ぎていて、わたしは自由の身のはず…。

「社長としての命令だ。付き合え」

がはっ!? けっ権力を盾にするとは卑怯なりっ!

「…分かりました。お付き合いいたします」

…しかしわたしは権力に弱い小市民だった。

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